水ビジネス関連

世界各地で渇水等が頻発しており、水需要が高まっている。

今後水ビジネスが拡大すると思われる。

以下は経済産業省がまとめた水ビジネスについてを投資目線でまとめたものである。

(参考 経済産業省 水ビジネス https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/waterbiz/index.html

 

概要
・市場のボリュームゾーンは施設整備(機器・部材売り含む)ではなく、事業運営である
自治体と民間企業の連携が必要なビジネス
・相手国の水ビジネスに関する法制度の整備状況、財政状況、人的資源の状況が重要(事業運営に関わるPPP法や⽔質や再⽣⽔利⽤に関する法規制)

水ビジネスの事業分野
・上水設備
・上水維持管理
・下水設備
・下水維持管理
・産業用水・その他設備
・産業用水・その他維持管理
・海水淡水化設備
・海水淡水化維持管理

 

世界の水ビジネス市場規模2019(億円)

  施設設備 維持管理 分野別計 事業分野別シェア
上水 82,456 161,786 244,242 34.0%
下水 139,547 144,757 284,304 39.6%
産業用水・その他 36,750 144,504 181,254 25.2%
海水淡水化 3,496 5,397 8,893 1.2%
外市場計 262,249 456,444 718,693 100.0%

 

 

世界の水ビジネス市場の分野別推移

 
2010 2015 2019 2020 2025 2030
規模 5年前比 規模 5年前比 規模 規模 5年前比 規模 5年前比 規模 5年前比
海水淡水化維持管理 0.3 1 0.5 1.6667 0.5 0.6 1.2000 0.8 1.3333 1.4 1.7500
海水淡水化設備 0.1 1 0.2 2.0000 0.3 0.4 2.0000 0.6 1.5000 1.4 2.3333
産業用水・その他維持管理 9.1 1 14 1.5385 14.5 13.2 0.9429 15.9 1.2045 21.1 1.3270
産業用水・その他設備 3.1 1 3.6 1.1613 3.7 3.2 0.8889 4.3 1.3438 5.1 1.1860
下水維持管理 10.5 1 14.4 1.3714 14.5 14.3 0.9931 16.4 1.1469 20.5 1.2500
下水設備 7.3 1 12.5 1.7123 14 14.2 1.1360 18.6 1.3099 29.6 1.5914
上水維持管理 13.4 1 16.8 1.2537 16.2 15.9 0.9464 17.5 1.1006 20 1.1429
上水設備 6 1 7.9 1.3167 8.2 8.4 1.0633 10.2 1.2143 13.4 1.3137
49.8 1 69.9 1.4036 71.9 70.2 1.0043 84.3 1.2009 112.5 1.3345

 

 

グラフ化したもの

 

 

市場の現状
・北米、欧州、中国、アジア(中国除)、中南米、中東、アフリカの順に規模が大きい
・海外の水ビジネス市場は拡大傾向
・海水淡水化市場が最も拡大している(規模は小さい)

主要企業の現状(売上高世界1~24位のうち、日本企業を抜粋)
・クボタ(膜、部材・装置、EPC)
栗田工業(薬品、部材・装置、電気設備、EPC、投資、運営維持管理等サービス)
東レ(膜)
※EPC→設計、調達、建設を一貫して行う業務

需要喚起要因
・気候風土(干ばつ、雨水不足、河川不足、乾燥地域)
・人口問題(人口増加、人口集中)
・経済成長(工場用水、高純度水)
・老朽化(老朽インフラ更新)
・水質規制(環境配慮の排水等規制)
・PPP法整備(水道民営化)
・再生水(法規制、ガイドライン、海水淡水化から再生水)
※PPP→官民連携

地域ごとのポテンシャル
・欧州、米国→上下水道の更新が主。水道劣化診断技術、環境規制に対応できる高度処理技術の需要増想定。
・中東、アフリカ→海水淡水化依存度高。再生水利用、ZLDの需要増。欧州、中国企業の進出が盛ん。
・アジア→上下水道への投資拡大。現地企業の台頭、価格競争の激化有。
・中国→水処理に対して積極的。上下水道民営化想定。工業化による用水不足から、再生水利用需要増。
中南米上下水道民営化増。鉱山向け水処理、オイル・ガス随伴水処理需要増想定。
※ZLD→施設外に廃水を放出しない技術

国内企業の売上高
・国内→薬品・ろ過材・管材・機器・装置、プラント・エンジニアリング、電気設備
・海外→薬品・ろ過材・管材・機器・装置、プラント・エンジニアリング、膜

国内企業の注力状況
・注力度上位→アジア上水道、アジア産業用水、アジア下水道
・北米下水道、中国下水道への注力も高くなってきている。

考察

市場規模について、施設設備は下水が最も大きく、維持管理は上水が最も大きい。

海水淡水化は施設設備、維持管理共に市場規模が小さいが、伸びが最も大きい。

→成長を見込めるのは海水淡水化設備。

→他分野については海外とのシェア争いになる。